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ビトレマー™ペーストの特徴と使用法

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ビトレマー™ペーストの特徴と使用法

『歯界展望』Vol.109 No.5 掲載

「ビトレマー™」のペーストタイプ「ビトレマー™ペースト」

このたび、発売以来10年の実績をもち、多くの臨床家の信頼を得ているビトレマー™ルーティングセメントに、新たにペーストタイプが加わった(図1)。操作時間は同じでありながら、口腔内に補綴物を装着してからのセメントの硬化時間が短くなることにより、マージン部の唾液や滲出液によるセメントの溶解や補綴物の浮き上がり等を防ぐことができる。

すべての粉・液タイプのセメントにあるどうしても避けられない問題として、粉1杯や液1滴の微妙な量の違いや練り手によって、練和後のセメントの硬さが左右されるという点がある。粉・液の比率が不適切であったり、混ざり具合や練和時間が不十分であったりすると、そのセメントのもつ特性を十分に発揮することは期待できない。

それに比べてペーストタイプは、専用のクリッカーで2種類のペーストを最後まで等量に出すことができる。また、ペーストタイプは練和が容易であり、練り手の影響を受けず常に安定した練り上がりが得られるうえ、気泡も入りにくいのでセメントのもつ特性を最大限活かすことができ、その分、信頼性も高くなった。

ビトレマー™ペーストの最大の特徴は、練和後のそのセメント性状にあると言えよう。クリーム状であり、全く垂れることがない。そのため、補綴物の内壁に均等な厚みでセメントを塗布することができ、装着時に均等な圧で余剰セメントが排出されるため、セメント垂れによる補綴物内の気泡の抱き込みや、偏ったセメントの流れによる補綴物の浮き上がりを防ぐことができる。また、マージン部を覆うように余剰セメントが停滞するため、マージン部に唾液が触れることがなく、空気も遮断できるため、マージン部の確実なセメント硬化が得られ、マイクロリーケージを防ぎ、フッ素徐放効果も高い。

以前、ペーストタイプは粉・液タイプと比べて粘度が高く、フローが悪いのではないかというイメージがあった。しかし、実際ペーストを練和してみると、練り始めは確かにある程度の粘度を感じるが、10秒ほど経つとスパチュラが驚くほど軽くなり、さらに10 秒ほど練り込み規定の20秒に達すると、粉・液同様、滑らかなクリーム状に仕上がる。練和には力がいらず、粉の飛散を気にせずにすむため、とても楽である。

進化した「ビトレマー™」

接着強度に関しては、エナメル質、象牙質ともにペーストタイプのほうがわずかに優れている(図2)。また、セメント被膜の厚さは約15µmであり、粉・液タイプとほぼ同等かそれ以下である。操作性だけでなく、セメントの性質そのものも向上していることがわかる。

ビトレマー™ペーストでもう一つの特筆すべき点は、ビトレマー™ルーティングセメントから引き継いでいる余剰セメントの容易な除去であろう。補綴物装着後2分で、除去可能な余剰セメントはやや硬めのゴム状を呈し、一塊で取れるうえ、白色をしているので見やすく、歯間乳頭や歯肉溝内の取り残しも防げる。補綴物表面に付いたセメントも、拭き取るだけで容易に除去できるため、不用意に歯肉や補綴物(特にマージン部)を傷つけることはない。

まとめ

ビトレマー™ペーストは、従来の粉・液タ イプと比べて、常に安定した練り上がりが可能なため、セメントのもつ性能を最大限引き出すことができる。多少の割高感は否めないが、その性能や操作性、粉・液と比べて最後まで無駄なく使える点、そして何よりも高い信頼性を考えると、十分に補える価値があるものと筆者は考える。

ビトレマー™ペーストの使用法