
ドクターコラムDirector's column
Vol.90 根管充填の成功率を上げるには<前編>
久々の根管治療コラムになります。今回は根管充填材(根に詰める最終的なお薬や材料)について2回に分けて書きたいと思います。
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根管充填の成功率を上げるには<前編>
根管治療の目的は、根管内を清潔な状態に保ち、細菌の侵入及び増殖を抑え、根尖性歯周炎(うみの袋)の発生を抑えることにあります。清潔な状態を作る為に、まず根の中の汚れている部分を削りとり、薬液で消毒します。次に、細菌の侵入及び増殖を抑える目的で根の中に薬や材料を詰めて閉鎖します。これが根管充填で、詰める素材を根管充填材と呼びます。
ところで細菌が増殖するには、栄養、水分、pH、温度などの条件が必要になります。そのため、水分や栄養が根管内に滞在しない様に緊密に根管内を埋める事が理想になります。
一般的な加圧根管充填法を説明します。ガッタパーチャポイントと言うゴムのような材料に、根管シーラー(抗菌作用のある接着剤)を塗って根の中に入れていきます。
この方法のデメリットは通常の根管シーラーには固まる時に収縮してしまうということです。収縮してしまうと、そこにわずかな空間ができて、細菌が繁殖してしまいます。それを防ぐため、圧をかけてシーラー自体を薄く引き伸ばし、収縮量を少なくする必要があります。
これにはくさびを入れて圧をかける方法(側方加圧根管充填)や、特殊な器具を用い、ガッターパーチャを熱で軟化し、圧をかける方法(垂直加圧根管充填)等が用いられますが、どちらも手技が複雑なため、成功率は低くなります。
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次回「根管充填の成功率をあげるには<後編>」に続きます
高橋デンタルオフィス 佐野陽祐医師(2021年8月)
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