根管治療ノート

渋谷区道玄坂の歯医者 高橋デンタルオフィス

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根管治療ノートDirector's note

Note #3

「このレントゲン写真見てください!これは膿が大きいので抜歯ですよね?」

新卒の後輩ドクターからよくこの類の質問を投げかけられます。

その度に、「膿の大きさは抜歯判定の基準に入らないよ?膿の原因と、治癒機転はわかる?」こんな意地悪な質問で返しています。(もちろん答えは教えますが(汗))

根の治療(歯内療法)において最も重要なのは診断です。その診断に基づいて我々歯科医師は治療を行うわけですが、歯内療法において抜歯の基準というのはある程度決まりがあります。

1、残存歯質量
歯の頭が十分残っているか
2、歯根破折の有無
歯の根が割れていないか
3、根尖孔外への感染物の溢出
根の外側に細菌の巣があるか
4、患者の希望
費用、治療期間などとの兼ね合い

上記のような条件で、治療を行えるかどうかを診断するわけですが、膿の袋の大きさは抜歯の診断項目にはいっていません。

これは膿の袋が体の中に起きていることで、かつ原因がはっきりしていることだからです。

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膿の袋の原因は根の中の細菌です。かつ膿の袋は体の内(骨の中)にあり歯の根としか交通していません。つまり根の中の細菌を駆除してしまえば、膿の原因の供給が絶たれて、体が自然に治してくれます。

一方歯周病は体の外側、つまり細菌にさらされている環境になります。それは唾液の中の細菌が常に歯周ポケットに供給され続けるからです。原因が除去しきれない環境では体が自然に治してくれると言うことはありませんので、種々の歯周病の治療を行い、口腔内に介入することで、歯周病を治していく形になります。

比較をするため少し脱線しましたが、根の先に大きい膿の袋があるから抜歯というのは治癒機転を考えてもナンセンスです。大きい膿の袋は完治するまでに時間はかかります(長くて年単位)。治療自体は根の中の細菌を駆除(1-3回程度)し、仮歯をつけた状態で数ヶ月に一回レントゲン写真を取り経過観察を行う形になります。

それでも良くならない場合は、外科的な処置を検討する必要があるかもしれません。

どちらにせよ、自分の歯に勝るものはありません。安易に抜いてインプラントをするよりは、自分の歯をなるべく残したほうがいいのではないかと日々考えております。

佐野陽祐(歯内療法専門医)

日本歯科医療評価機構
Features 歯周病、口腔外科(インプラント手術)それぞれの専門医が在籍し、高い技術によって、確実で安心、安全な治療をお約束します。